話題になった「スマホ脳」を読了しました。
ひと言で言うと、スマホが手放せない本当の理由が理解できました。
「Facebookの投稿にいいねついたかもしれない」
「LINE来てるかもしれない」
気になって、1日に何度もスマホを手にとっていませんか?
著書によれば、人類が誕生してからの歴史の中のほんの一部、わずか10年前に普及したスマートフォンが、人間の集中力を奪い、とても依存性の強いドラッグになり得る、とあります。
それはどんな根拠をもとに書かれ、私たちの心身にどう影響するのでしょうか?
今回から数回に分け、要約してみたいと思います。
①脳はデジタル社会に適応していない
スマホが手放せない本当の理由を理解するために、歴史的な側面を知っておく必要があります。
人類は、10歳まで生きられるのが半数以下であるくらい、常に危険と隣合わせの生活をしていました。
「どこに行けば食料にありつけるか」
「どこに行けば安全に過ごせるか」
「あいつら(他の種族)は危険な存在か」
このような情報を周囲から探す本能が備わりました。
ちなみに、当時の平均寿命は30歳足らずで、一般的な死因は飢餓、干ばつ、伝染病、出血多量、そして誰かに殺されることだったといいます。
しかし、ここ数十年は、人類の歴史上、ほんの一瞬ではあるが急激にライフスタイルが変化した時期でもあります。
人間の脳はこの変化に適応しておらず、デジタル社会にミスマッチしているのです。
便利になればなるほど、不健康に感じるのはそのためですね
こうしたミスマッチを無視し続けた結果でしょうか、著者が住むスウェーデンでは、9人に1人が抗うつ剤を使用しており、睡眠障害を引き起こす若者が2000年頃と比較して8倍になったといいます。
②スマホを手放せない理由は「かもしれない」
情報を周囲から探す本能は、上記で述べたとおり、太古から備わってきました。
人間は、新しいことを学ぶとその報酬として、脳内でドーパミンという快楽物質が放出されます。
スマホを例に取ると、ネットニュースやYou Tubeなど、スマホが新しい情報を提供され、それを見るたびに脳内でドーパミンが放出される。
しかも、「新しいニュースを見ると生き残れる確率が上がるかもしれない」という不確実な状況のほうが、ドーパミンの放出量は多くなるといいます。
スマホを手放せなかったり、1日に何度も見てしまう本当の理由はこのためです
SNSやアプリを提供するIT企業は、こうした脳の仕組み(脳の報酬システム)を研究しつくしたうえで、巧妙に設計しています。
巨大IT企業のApple社の幹部が、家族にiPhoneやiPadを使わせない、というのは有名な話ですが、スマホはあなたの集中や運動や睡眠、社交の時間を奪うほど依存性の強いドラッグとなり得るのです。